FROM SYORI-sama

「全てはここへ」その2

「いっただきま〜す。」
朝食が運ばれてくる。彼女は昨日、来てすぐに寝てしまったから、ここで取る初めての食事のはずだ。
 席が・・・悔しかった。天化のとなり、空いてたのに時乃に取られてしまった。
 ・・・・・というよりもさも当然のように自然に座られた。あたしにはどうやってもできないこと。それが悔しい。
 みんなはねぇ、あたしのこと、図太い女だと思ってるみたいだけど、実は繊細なんだよ、すごく・・・(自分はそう振る舞ってるつもり)
「天化。」
「ん?何さ。」
時乃の話し声が聞こえる。天化と話してるだけで、すっごい気になる。
「特訓する気、ある?」
「なにを?」
「実践稽古。一時間ぐらいかな。あたしの勘戻しも兼ねて。」
一時間ぶっ通しで動き回る。それがどれだけきついものかはわかっている。金ゴウで剣術の稽古もしたけど、二十分動き回ることができたら上等だったもん。
 天化は何度も戦いを見てるけど。時乃の方に、そんな体力があるとは驚きだ。
「そういえば・・・」
「え?何だ?」
ぼそり、と呟いた一言にイ護が反応してしまった。
「ううん、なんでもないの。気にしないで。」
気にしないでおこう。人のこと暴いたっておもしろいもんじゃないし。
「時!冗談じゃねえさ!俺っちパス!」
ちょっと考え込んだとたんに天化の叫び声が聞こえてきた。けっこうマジだ。
 がたっといすをけっ飛ばし、不機嫌そうに歩いていく。内心、ハラハラしてみている。
「逃がさないよ。」
そう時乃が呟いて、手を動かす。まるで糸を引っ張るように。すると、天化が派手な音を立てて転んだ。
「まさか・・・」
天化が青っちょろい顔をしている。
「相変わらず怖いのう。時乃は。」
公主が笑った。
「ねぇ、楊ゼン。今の何?」
「今のって?・・・あ、そうか君は知らなかったっけ。」
ぐさっときたよ、ぐさっと。そう、あたしだけ、あたしひとりだけが金ゴウ出身なんだから・・・。
「あれが時乃君の宝貝。『印』っていうんだ。」
「・・・イン?」
「いろいろなものを操れるんだ。たとえば、今使ったのは左手の『体』。体についてなら何でも操れる。今は天化君を転ばせただけだけど、傷を治したり、強くさせたり・・・。やったことはないけれど、体を爆発させて殺すってのもできるみたい。それから、右手が『心』で、他人の記憶を見たり、記憶を変えさせたり・・・で、額が『物』。物質・・・人の力が加えられてる物なら何でもできる。消したり、出したりとかね。」
「はぁ・・・すごいけど・・・なんでそれがスーパー宝貝じゃないの?」
「性能の面ならひけは取らないよ。けど、あれは持ち主以外の人は使えないんだ。持ち主でも中途半端に使うと体中に激痛が走るんだけど、持ち主以外の人が使うと、生死に関わる痛さらしいし。あ、みて。彼女の手・・・王天君の寄生宝貝の印みたいなのが見えるだろ。あれなんだ。」
はぁ・・・すごい・・・
 もうただただ感心するしかなかった。そしたらまた天化の声が聞こえてくる。
「負けたら五十メートルシャトルラン二百本やらせるぅ〜〜〜〜?んなことは不可能さ!」
「負けなきゃいいじゃん。負けなきゃ。だいたいそれぐらい、よゆーでできるでしょ」
あれ?シャトルランって二十メートルで、しかも百本ぐらいじゃなかったっけ?
「俺っちはお前じゃねぇさ!だいたいコンロン追い出されたときだって、十二仙クラスなら五人ぐらいと戦ってもお前ひとりが勝ったじゃねえさ!」
「今なら十二対一でも勝つ自信、あるよ。」
すごいな・・・でも・・・
「なんで・・・」
何でこんなにすごい人が、すごい宝貝持った人が、こんな強い人が・・・

コンロンから下山させられた、いや、追い出されちゃったんだろう・・・・
注:シャトルランとはだんだん早くなる音楽に沿って、ある一定の間を走るものです。最近では小、中、高校の、体力テストの持久走の代わりにやります。(だいたいが二十メートルだと思います)ちなみに作者は四十六本。蝉玉の足元にも及びません(泣)

 

- 続く -


※かみかの感想は、小説完成後に、させていただきます☆

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