|
FROM
SYORI-sama
「全てはここへ」その1
四つの紋章 全てを創りし物
一つは自然を
一つは物を
一つは心を
一つは体を
それぞれ創らん
全てを持ちし、心の正しき者
何者にも負けぬ神龍となり
大空駆けめぐる
一つ欠ければ
体の底で、神龍にも負けぬ力がおこり
その者の心身を壊さん。
二つ、三つ欠けるならば
何事も起きずーーーー
黄天化、ナタク、ヨウゼン、韋護、トウ蝉玉、竜吉公主。
この仙道の運命は、紋章を持つ一人の女性によって変わっていくーーーー
「青峯山は紫陽洞、清虚道徳真君様が一番弟子、桃時乃(とうのときの)です。天化の姉弟子兼義妹でもあります。しばらくやっかいになりま〜す。」
昼も終わり、あたりがだいだいに染まり始めた頃、とある女性はやってきた。
太公望が太上老君を探しに出かけ、ヨウゼンが進軍を始めてすぐの時。ちょうど、夕飯の時間。
「時乃・・・・ちゃん。」
ひくっ、とヨウゼンの顔が動いた。
「お久しぶりです!ヨウゼンさん。あ、いーちゃんとかなーちゃんとか天ちゃんとかはどこですか?」
「誰だ!うるさい!殺すぞ!」
「あーっ、なーちゃん!」
「時乃・・・・」
なぜかナタクはお怒りではなかった。飯に集中しているときの突然の来訪。ナタクでなくても怒る場面だ。
しかし、何よりおもしろかったのは、天化の反応だ。
「時・・・・」
隣にいた蝉玉は、天化からサァーという血の引く音が聞こえた。
そして天化は蝉玉の後ろへ隠れ、早口で、ちょっと黙ってるさあいつ行くまで、と言った。
しかしそれは無駄な抵抗だった。
彼女は、蝉玉の椅子の後ろをのぞきこんだ。
「て〜んちゃん。久しぶり。」
「・・・・なんで『天ちゃん』さ?一年前までちゃんと『天化』だったさ。」
「あれっ時乃じゃねえか。」
「あ、いーちゃん。」
「いーちゃんって呼ぶなよ。いーちゃんって。」
「ま、いいじゃん。」
なんだかんだと四人が言い合ってるときに、蝉玉は初めてみる彼女をじっくりと眺めてみた。
ーーーー髪はあたしが下ろした時みたい。趙公明みたいな金色・・・・目は、深い青のような紫のような緑のような色してる。そして、何よりもあたしの目を引いたのは顔。あたしや妲己や竜吉公主とは全然違う。妲己のようなきつさも、竜吉公主のような冷静さはないけれど、何よりすごいきれいな・・・・ま、あたしには負けるけどね。・・・・強いて言えば、笑顔がよく似合うような・・・・そんな顔。
「ったくわかったわよ。呼び捨てで呼べばいいんでしょう!天化!」
「そ、それでいいさ。」
「・・・・ところでこの子は?仙道だけど、コンロンの人じゃないでしょ。」
「あ・・・・あたし蝉玉。トウ蝉玉よ。よろしくね。」
「ふ〜ん。蝉玉ちゃんか。よろしくね。」
次の日・・・・蝉玉はドアをノックする音で目を覚ました。
「蝉玉ちゃん。蝉玉ちゃん。おはよ〜〜」
誰ぇ〜〜?あたしを蝉玉ちゃん、って呼ぶのは・・・・パパ・・・・じゃないわよねぇ。女の人の声だし・・・・
「時、俺っちそろそろ行くさ。」
「えぇ〜〜〜〜〜待っててよ。別にいいじゃん、ちょいとぐらい遅れたって・・・・」
「よくないさ。楊ぜんさんに封神されちまうさ。」
すると、ドアの向こうから笑い声が聞こえてきた。
「あははははっ。楊ぜんさんにも勝てないの?よゆーじゃん、よゆー。」
「俺っちとおまえは全然違うさ。とくに目が危なくなったおまえとはな!」
一つの声は蝉玉にとって聞き覚えのある声・・・・自分の愛する人の声だ。
しかしもう一つの方は全く聞いたことがない気がする。
「ま、いいや。本当に行くさ。」
「あっそ。」
タタタッ、と走り去る音が聞こえる。
「ちょっと蝉玉ちゃん・・・・」
「はいはい。ちょっと待って。」
蝉玉は起きる決心をした。ダッシュで着替え、ガチャと戸を開ける。
そこにはやはり昨日来た女性――――時乃――――が居た。
「おはよ〜〜時乃さん。」
「呼び捨てでいいよ。」
時乃はジーンズにTシャツという天化に似た格好をしていた。もし天化が女性だったら・・・・こんな格好をするだろう。
食堂へ歩きながら蝉玉は聞く。
「ねぇ、昨日道服だったわよね。どうして着替えたの?」
「めんどいから。」
至極もっともな返事をされた。
「あの・・・・天化の姉弟子なのに、義妹ってどういうことなの?それに、女の仙人骨持ちは、仙人じゃなくて、仙女に預けられるはずよね。どうして道徳真君のところに?」
「・・・ん〜〜〜話せば長くなるんだけど・・・・とりあえず、あたしが天化より二つ下で、天化より二年早く洞府に来たの。もう一つの方はねぇ〜〜〜〜〜、じゃさ燃灯道人って知ってる?」
逆に質問された。
もちろん蝉玉は彼女を知っている。
十二仙まとめ役、燃灯道人といえば、仙人界で知らぬ者は誰も居まいと言われる者だ。
たしか五十年ほど前に道術を学ぶのをやめ下界におり、二十年ほど前に、両足が不自由になり、そして二年前に不幸にもこの世を去ってしまったと言う人だ。
彼女は、十二仙とは別格で(もちろん上の位)誰よりも道術がうまく、そして仙人界の中で二番目に剣術が強かった。
もちろん一番は十二仙ではない。
「あ・・・知ってるよ。」
「それがあたしの母。」
「えっ・・・・えぇ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!で、でもあの人が子供産んだなんて・・・・」
「正確には『養母』。捨て子だったあたしを育ててくれた人・・・・だから、あたしに仙人骨があったって分かったら『あんたには、仙女じゃだめ。道徳があうわね』なんて言って道徳様のところに連れてってくれたの。」
「へえ・・・・」
もちろん蝉玉はそんなこと知らない。
「っとあたしも聞きたいことあるんだ。天化のこと好きでしょ。」
突然来た不意打ちに、蝉玉は口をあんぐりと開けた。
「あ・・・・う・・・」
「図星か」
「だぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜!!!!!!!!!!!」
「静かに。天化に聞こえるよ。」
「あ・・・・・・うん。」
蝉玉は頭が混乱してきた。昨日天化と一緒のところを見られたにしろ、変な反応は見せていない。今日は彼女のことについて聞いただけだ。
「どうして・・・それを・・・・」
「いきなり天化との関係について聞いたから。」
たかがそれだけで、人の気持ちがわかる物なのか。蝉玉の頭は混乱しっぱなしだ。
「けど・・・・本当は・・・・」
そのせいか、この時乃の呟きは、蝉玉には聞こえなかった。
「あなたの・・・・思考を・・・・読んだのよ・・・・」
さて、この謎の多い女性、桃時乃は何を考えているのか・・・・
「着いたよ」
目の前は食堂。
- 続く -
作者コメント>
これでは、仙道の年齢を、
天化:21歳
時乃:19歳
蝉玉:20歳
ナタク:17歳
韋護:20歳
ヨウゼン:25歳
竜吉公主:24歳
ってなかんじでやっております。 「イメ〜ジと違う〜!」 というひとでも読んでやって下さい。 一応これは、天×蝉と、韋またはナタク×時、と、それからヨウゼン×竜が混ざってますので・・・・
|