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SATORU-sama
「熱望」 今晩、蝉玉は1人だった。 西岐城であてがわれた部屋、彼女の隣の寝台は空である。いつもそこにいるはずの夫は、作戦のためだと太公望と出かけてしまった。 「あたしもダーリンといくう!」と主張したものの、太公望に危険で難しい仕事だと諭され、夫には女がやることじゃないとぶっきらぼうに言われ、留守番にならざるをえなかった。作戦は失敗すれば大事な夫ですら危険なことになる。一応強い軍人を目指していた蝉玉だからその程度の聞き分けはあった。 髪をとき、寝間着に着替えて横になる。枕元の灯りを消して、目を閉じた。 「……。」 蝉玉は暗闇の中で目を開ける。疲れているはずなのに寝付けない。彼女は寝台のなかでしばらくごそごそしたあと、やっとうとうとし始める。と。 足をさするような感触がした。蝉玉はぎょっとして自分の身体を見下ろした。まるで自分の他に誰か潜っているかのように、掛け布団が膨らんでいる。やがて胸元が盛り上がり…。 劉環の、血塗れの顔が現れた。 「いやああああああ!!」 蝉玉の悲鳴が響きわたった。劉環はにいと笑って蝉玉の腰に抱きついた。蝉玉はめちゃくちゃに手足を振りながら寝台から転げ落ちた。 「おい!」 ごつごつとした男の手が蝉玉の腕を掴んだ。 「いやーっ!」 「俺だ!しっかりしろ!」 聞き覚えのある声。蝉玉は我に返った。天化が見下ろしていた。 「あんたがあんまりすごい声たてるもんだから、起きてしまったさ。」 「あ…。」 そういえば、黄一族の部屋は近くにあった。蝉玉は立ち上がろうとしたが、腰が抜けたようになって立てなかった。天化が手を貸した。蝉玉の手を包み込むような乾いた暖かい手は彼女を少し安堵させた。 「劉環が…。」 震えながら、寝台を指さす。そこに灯りがさしかけられたが、何もなかった。 「何もいないぞ?」 天化は蝉玉を支えながら寝台に座らせた。 「恐い夢を見たんだな。あの男か。」 「ダーリンがいればこんなことないのに。」 「あいつが?」 「うん。夜中に目が覚めるとね、時々ダーリンが起きているの。ベッドの上に座って、ただ窓とか戸とか睨んでる。何でもないって、彼は言うけど。」 蝉玉は隣の空の寝台を見やる。 「劉環がやはり来ているのよ。でも、ダーリンが守ってくれてたの。」 それを見ていた天化から、すうと表情が消えた。彼は蝉玉の肩から手を離して立ち上がった。 「…せいぜいあのモグラに守ってもらえばいいさ。」 「天化?」 急に態度を変えた天化を、蝉玉はとまどったように見上げた。天化は背を向けてさっさと出ていく。蝉玉は何だか分からない、というように目をくりくりとさせていたが、はっとしたように言った。 「起こしてごめんね。助けてくれてありがと!」 蝉玉の割合元気な声を背に部屋を出た天化は、がっくりと肩を落とした。 しばらく、蝉玉の部屋の戸にもたれてうなだれていたが、やがて舌打ちして、その場に座り込んだ。下らない嫉妬で、蝉玉を危険の中に取り残す気はない。 「ダーリンダーリンって全く…。」 宝貝を出し、手持ちぶたさに刃を出したり引っ込めたりしながら呟く。背後の部屋では、蝉玉が夫の夢でも見ているのだろうか。そばにいない男では、守ってやることは出来ないというのに。 天化は少し笑う。 「いいさ。守ってやるさ。」
- 終 - 作者コメント> |
| KAMIKAMII's COMMENT |
| 池済悟さまより頂いた天化・蝉玉小説です。ありがとうございます〜★ なんとノーマルカップリング初挑戦という事で!! 記念すべき第1作ですね(^_^) って、え・・・・・・「夫」なんですかーーーっ!!?(号泣) うわぁぁぁぁんっ天化っ!! ぼさぼさしてるからさ〜っ(T_T) もぉこのさい間男でも愛人でもなんでもいいっ!! いけっ天化!! (笑) 今度はモグラ抜きで、骨の髄まで天蝉で書いてくださいよ〜っ(^_^;) ・・・でもこの続きも読みた・・・(爆) |
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