FROM RINREN-sama

「Rainy Day/Breaking Record!」

大体燃燈は過保護すぎるのじゃ。
いつもいつも私を病人扱いしおって。
全く、これではどちらが年上なのかわかったものではない。

姉様に過保護だと言われた。
しかし仕方がないではないか。
そうでもしなければ、姉様は恐ろしく自分の体調に無頓着なのだから。

崑崙に久々に雨が降った。
雨粒がぱらぱらと落ちてくるのを手で受け止めるのが面白くて、外へ出ていたら、ふいに後方でぱしゃんと湿った地面を踏む音がした。
「姉様」
「おお。燃燈」

姉様は小雨の中に居た。
両手を雨を受け止めるようにかざして、雨粒をその身に受けて。
長い長い黒髪が、細かな銀砂に彩られているように見えた。
一度ためらってから、私は声を掛けた。
「姉様」
姉様が振り返る。
瞬間、私は声を掛けたことを後悔した。
「おお。燃燈」
「いつまでもそんな所に居られてはお風邪を召しますよ」
「相変わらず心配症じゃの。私はそこまで虚弱ではないよ」
姉様がもう少しご自分を気遣われるのなら、私もここまで心配しませんよと言いたかったのだが、止めにしておいた。それで変わるわけでもないからだ。

「いつまでもそんな所に居てはお風邪を召しますよ」
「相変わらず心配症じゃの。私はそこまで虚弱ではないよ」
私がってそう言い返すと、燃燈は一瞬むっとして、再度言った。
「ではあと少しの間になさってください。いつまでもそうしているのは楽しいでしょうが、 見ている私の神経が持ちません」
「おや、お主に束縛されるとは思わなんだの」
からかい半分で言うと、燃燈はひどく傷付いた表情(かお)をした。
こら、やめぬか、そんな表情(かお)は。
まるで私の方が悪いような気になってくるではないか。
全く、何歳(いくつ)になっても変わりのない。
「・・・・・・冗談じゃ」
そう思っていてもつい、その瞳に負けて自分の言葉を否定してしまう。
「え?」
燃燈が眉を上げる。
「冗談じゃからその顔はやめよ。・・・・・・全く卑怯な男じゃのぅ」
「え、え?」
戸惑って私を見上げる燃燈の表情は、皆目理解できないと言っているようで本当に面白い。

「・・・・・・冗談じゃ」
「え?」
「冗談じゃからその顔はやめよ。・・・・・・全く卑怯な男じゃのぅ」
「え、え?」
一瞬、姉様の言うことが理解できなかった。
姉様は変わらずに薄く笑いながら空に浮いて私を見下ろしている。
「おぬしをからかってみただけじゃ。本気に取るでない」
「し、しかし・・・・・・」
「あのような顔をされてはからかいがいが・・・・・・ではない、私が悪いように思ってしまうではないか」
「も・・・・・・申し訳ありません」
「謝るなと言うておるに!」
「!」
じれったそうに自らの周囲に浮く水球を揺らす姉様は、本当に年上かと思うほど幼く見える。
私は笑いを堪えきれない自分を自覚しながら、はい、と言った。

燃燈の反応があんまり素直なので、つい本音が出かけた。
申し訳ありませんと頭を下げる燃燈はそれでもやはりじれったく思えて、
「謝るなと言うておるに!」
と思わず叫んでしまった。
燃燈は呆気に取られた顔をして、それからはいと返事をした。
その顔はやはり、堪えきれない笑みが溢れていて、内心憎らしく思ったけれど。
「それで、姉様、どうなされますか?まだここに居られますか?それとももう中へお入りになりますか?」
仕返しだと言わんばかりにそう聞いてきたので、本当に燃燈は何歳だろうと思いたくなった。

「それで、姉様、どうなされますか?まだここに居られますか?それとももう中へお入りになりますか?」
一応良心から聞いたつもりだったが、少々意地が悪かったかもしれない。
「もう良い!」
姉様はそう言って、私の前まで近付いて、地面すれすれまで降りてきた。
「おや、ご気分を害されましたか?」
今度は故意に、心配半分、揶揄半分で聞いてみる。
「それはもう存分に害されたわ!」
そう言って年甲斐もなくそっぽを向く仕草は、昔から変わらない。

「おや、ご気分を害されましたか?」
そう白々しく聞く燃燈は意地の悪い笑みを浮かべている。
「それはもう存分に害されたわ!」
ぷいとそっぽを向くと、くすくすと笑い声がして、やはり憎らしいと思ってしまう。けれど。
「では浄室までお連れ致しましょうか?」
そう言って、それまで右手に持っていた薄い白藍の布を頭からふわりと掛けられて、 あまつさえ微笑まれては、それ以上何も言えなくなってしまうではないかっ!
「〜〜〜〜全く、狡い男じゃ・・・・・・」
「え?」
燃燈が何も知らぬげに聞き返す。(燃燈のことだから本当にわかっていないのかもしれない)
「姉様、何か・・・」
「何でもないわ!早く連れてゆけ!」
「はい、姉様」
布のせいでよくは見えなかったが、そう言った燃燈はきっと満面の笑顔を湛えていたのだろう。

「これで少しは懲りてくださると私も楽になるんですが・・・・・・」
「何か言ったか?燃燈」
「いいえ?何も言ってませんよ」
ただもうそろそろ勝ちを連ねたいなあ、と思ったんです。

 

- 終 -


作者コメント>
あとがきという名の言い訳。 なんか二人ともお互いのことを子供扱いしてますね・・・・・・ あ、この話は封神計画が始まる前ってことにしといてください(苦) あーでも二人とも子供っぽくてすみません・・・・・・大人な二人が好きな方は特に・・・・・・ これじゃぁ燃竜っていうよりシスコン+ブラコンですね(爆死) あ、ちなみに白藍(しらあい)とは、色の名前で、もうほとんど白に近い薄い藍染の色のことです。 何か私 こうゆう部分にばっかこだわってしまうのですよ・・・・・・ううう。 ってゆうかこの話、最後の1行で全てがギャグと化しましたね。フゥ・・・・・・(ため息) って、はじめからギャグか。(正解) 

KAMIKAMII's COMMENT
鈴蓮さまより頂いた燃燈×竜吉小説です〜!! かわいらしい二人 (笑)をありがとうございました☆ この二人ってはたから見てると「またやってるよ」とため息をつかれそうな、二人の世界を繰り広げていそうですね (笑) お互いに主導権とったりとられたり、微妙なやりあいがくすぐったくってかわいいです(#^.^#) 最後の一行に萌えましたv ってすっごい意味深に聞こえたりするんですが。勝ったらご褒美はなーんて…げっふげっふげっふん!!
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