FROM MITUKA-sama

「オルゴール」

あの日の胸の高鳴り、あの日に交わした約束。あの日の想いで呼び覚ますオルゴール。コロリ、コロリと呟きながら。

「ねー、大きくなったら何んなりたいさ?」
「そー言うあんたこそ、何になりたいのぉ?」
「えー・・・俺っち?んーとね、蝉玉と結婚するー。だって蝉玉好きだもん。」
「あははははは!無理だよー!いくらあんたがあたしのこと好きでも、今のままじゃね。あたし、もっともっと強い人が良いもん。あたしのパパよりも、あんたのパパよりも、ずっとずっと強い人が理想なのよっ!で、あたしの事守って貰うの!!」
「げー、蝉玉が守ってもらうー?そんなの無理さ。蝉玉より強いのって、あんまりいねぇさー。」
「もー!何よぉ!!あたしがいくら強食っても、ピンチの時一人じゃ、何もできないかもしれないでしょ!?そーいう、どーしよーも無いときに救けてもらいたいの!!」
「・・・じゃさ、俺っちがすっごく強くなって、蝉玉を守れるようになったら、好きになって・・・結婚してくれるさ?」
「良いわよ!!だってあたしも  の事好きだもん!!愛に生涯は付き物よ!!頑張ってね!」

「−んん?あれ、あたし寝てたんだー?」
 今まで蝉玉は、机に突っ伏して居眠りしていたらしい。肩には誰かが気を使って毛布を掛けてくれたようだ。春と言っても、夜や明け方はさすがに冷える。しかも蝉玉は露出の多い服を着ているので、そのままの格好で寝るのは『私は風邪をひきたいです』と言っているようなものだろう。
『あの夢。うっすらだけどおぼえてる・・・。誰だっけ?肝心な名前が思い出せないー!!声とかは思い浮かんでくるのになぁ。』
 さっきの夢は気になる。でも思い出せない。考えているうちに夜も遅くなってきてしまった。「夜更かしはお肌に悪い」というパパの教えと一般論に従って、蝉玉は風呂に入って寝ることにした。『もしかしたら夢の続きが見れるかも』ということもあった。
『そういえば・・・アノ夢の中の子・・・。優しい子だった気がする・・・。誰?だれだろ?もしかして・・・あの子って・・・』
 そこまで思い出して、蝉玉は深い眠りに落ちていってしまった。その枕元には、ちょっと傷の付いたオルゴールが子守歌代わりの様に音を鳴らしていた。

眠りを誘う、懐かしいメロディのオルゴール。コロリ、コロリと音を奏でて・・・。

「ねー、蝉玉。今日は何するさ?」
「フフフフ、今日もやっぱりイタズラでしょ!?」
 そういえば、あたし達、悪戯とか走り回ったりとか、からだ使うこと好きだったわねぇ。周りの子達と比べてずいぶん体力も有ったし。ま、あたしは仙人骨が有ったから当たり前か。
「蝉玉、この木なんかどうさ?」
「えー?ちょっと大きくて太くて重そうよ?折れにくそうだし。」
「大丈夫だって!二人なら何とかなるさ!」
 ああ、あたし達この時は隣の桃を盗み食いに行こうと思って、塀を越えるための木を探してたんだよね。隣の塀、高かったなぁ。
「ね、ね、これでならこの木、折れるんじゃない?」
「蝉玉一人じゃ無理さ・・・。俺っちも一緒にやるよ。」
 そうだ、鉄の棒をあたしが拾ってきて、それで木を倒そうとしたんだよね。我ながら自分達の力をわきまえていたわね。いくらあたし達でも素手じゃちょっとね・・・。痛いし。
「じゃ、せーので行くわよ!!」
「ああ、分かったさ。」
「「せーの・・・」」
 この後2・3回木を打ったら折れたわ。子どもながら馬鹿力。察すが仙人骨の持ち主ね!それにしても、あたしとあの子の連携プレーも素晴らしいわっ!!お互いシンジ有ってこそ成せる技よね!!
 この後も二人で木を担いで行ったのよね。おっきい木だったわ。それこそ丸太小屋に使うような太さだったんじゃないかしら?で、その木、塀に立て掛けてむこうに到着。
「あっ!この桃美味しそー!!これもー!ね、どれにする?」
「んー、じゃ、これと・・・。」
「こりゃー!!ワシのうちの桃に何しとるかー!!!」
「げっ!やば!!」
「逃げるさ蝉玉!!」 
 結局、あの子が最初にとった一個しか収穫無しだったわ・・・。あの高い塀は地面から飛び越えれちゃった。あのとき初めて、自分たちが高く飛べることに気付いたのね。それからというモノ、跳躍力を活かして、今まで以上の悪戯を繰り広げたわ。楽しくて楽しくて、笑いが止まらなかった。そんな子といたから伝説の悪ガキの名は、より一層強固な伝説と化したのは、言うまでも無かったけどね。
「ふぅー、びっくりしたー。でもま、あたし達に走って追いつけるのは、あんたのパパくらいのモノよね!!」
「そうさねー。でもあそこのおやじ、おっかねぇさ!」
 息一つきらさずに2キロ位先の河原まで走ってったわ。しかもさっき修得した高いジャンプで木や塀を飛び越えながら。でもなんでそこまで走ったのかな?二人三脚みたいに二人ぴったりくっついて、歩幅まで同じで走って。無意識のうちに競争してたのかも。あたしと同じくらい、負けず嫌いだった。・・・楽しかったから、2キロも走ったのかな・・・。

 緑の草と、河のにおい。水の音、虫の声。髪をなでる風。隣には好きな子。恋愛感情じゃ、なかったかもしれない。でも、好きには変わりないでしょ?でもやっぱり、恋愛感情・・・だったのかな・・・。

「桃・・・。どうする?」
「これ一個しかねぇから、蝉玉に上げるさ。」
「んー、あ!そうだ!半分に分けよ!そうすればあんたも食べれるでしょ!?」
 分けるって言っても手がベトベトになるから・・・
「一口食べたら替わってよね!!」
「分かってるって!!」
「ああー!!一口そんなに大きいの!?ずるーい!!」
「これが俺っちの一口だかんねー。文句言うなら蝉玉もこれくらいやってみるさー。」
 二人ムキになって大口開けて食べたっけ。結局顔中桃の汁だらけ。河で顔洗ったわね。そこで河に突き落とされて、仕返しに引きずり落として。結局水遊びが始まっちゃって。
 楽しくて楽しくて、つい遊びすぎて夕方になっちゃってて・・・。二人で土手を、手をつないで影踏みしながら帰ったわ・・・。


一月後・・・

「ね・・・蝉玉・・・。俺っちの話、真面目に聞いてくれるさ?」
「んー。なにナニー?なんの話?ちゃんと聞いてあげるから、話してみなさいよ。」
 いや・・・。これ、思い出したくない・・・やだよ・・・!!
「俺っち、今度仙人界に行くことになったさ・・・。」
「ヘェ・・・。行ってらっしゃい。」
「・・・蝉玉。真面目に人の話聞いてるさ?」
 聞いてて、頭に入ってなかったわ。なんのことは。はっきり分からなかったもの。
「聞いてるわよ。仙人界に行くんでしょ?いつ帰ってくるの?何かお土産持ってきなさいよね!!あ、あたしならあんたの居ない間も大丈夫よ!寂しくないわ!!」
 ちょっと、旅行か何かに行くようなモンだと、おもってたわ・・・。
「あのさ・・・。いつ帰ってくるか、分かんな、い・・・。だから、こ・・・れ・・・。
 そういって咲き出した手に、小さなオルゴール。もう、嗚咽がもれてて。その時、何を言ってるのか、あたしやっと分かったの。
「嘘・・・。何でそういう嘘つくの!?だいたいあんたにそんな才能とか・・・!」
思い当たる節が有った。有った、って言うより、思い当たる節だらけ。
「せんぎょ、く・・・それ、でも・・・寂し、く・・・ない?・・・そんな、の・・・ひど・・・!」
「寂しくないわけ・・・ない・・・よぉ!いやだよぉ・・・!行っちゃ・・・ダメぇ・・・!!」
 あたしも、泣いてる。嫌で嫌で仕方なくって。ママが死んだ時みたいに嫌で・・・。
その子、結局仙人界にいったし・・・。寂しくて・・・。だから、思い出したくないのに・・・!!

床に落ちて鳴り響くオルゴール。コロリ、コロリと音を奏でて。

「でも、蝉玉・・・。俺っち、強く・・・なって・・・、ちゃん、と・・・守れるよ、に・・・なりたいさ・・・!!」
「!!」
「だ・・・から・・・」

さよならを、代わりに告げる、オルゴール。コロリ、コロリと歌いながら。

「天、化・・・?」
 蝉玉は夢の終わりと同時に目が覚めた。枕を見ると涙で濡れた跡。髪の毛は汗で額に張り付いていた。
『今まであたし、何で気がつかなかったんだろ?どうして?でも、やっとわかった・・・。』
 大好きな子と離れて、悲しすぎて。記憶の隅の方へ、隅の方へと追いやって。でも、ずっと探してて・・・。

 朝靄の中、天化が居た。見張りの深夜勤。誰も人が居ない中、少し眠たそうにしていた。人が近づくのを、草を踏む音で気付いたらしい。振り返り、蝉玉を見る。
「蝉玉・・・。おはよう。」
「ん。おはよ。」
 天化は眠い目をこすり、「深夜勤はやっぱ辛いさ」と言った。「馬、燃費が良いし、年もとらないんだから仕方ないでしょ。」と蝉玉が笑った。
「天化、あんたってさ、強くなったよね。」
「へ?俺っちなんて、まだまださね。」
「ううん、すっごくすっごく強くなったよ。」
「蝉玉・・・。」
「おかえり、天化・・・!」

約束の時が来たことを、静かに教えるオルゴール。コロリ、コロリとほほえみながら…

 

- 終 -


作者コメント>
はい、ここまでですよ!!!お疲れさまですかみかみー様!!もしアップしちゃったらここを読んでいる皆様!!辛いですね。無駄に長いし。読者様がここのページから引いちゃいそうですね。そんな時は他の方々の素晴らしい小説を読んで下さいね。自分でも臭くて死にそうです。どうでも良いですが、最後から2こ目のコロリのヤツ、5.7.5で川柳になってますよ(笑)!!うわ、本当にどうでもいいや。苦情はかみかみー様ではなく私の所へお願いしますよ。面白かった・・・てのは無いでしょうね。天化のしゃべり方は打つのが辛かったです。いちいち「〜さ」が「〜差」になるんですものん。あと、この後(おかえりの後)は私にはかけません。二人のあとを追って朝、昼、夜と行ったらなおさらです。年齢制限に私が引っかかりそうです(退去しちまえ私)!

KAMIKAMII's COMMENT
伊藤蜜香さまよりいただいた小説です。かわいい小説ありがとうございました〜☆
ご本人いわく、"プレステ封神演義のいいとこどり「天化と蝉玉が幼なじみ」"です。そういえばあの設定って詐欺ですよね詐欺!!! なんのために私がゲームを買ったと!!!(ってそれだけかい・・・) かみかのあほ話はともかく。ああ子供天化と子供蝉玉のなんとかわわいい事かっっ(>_<)☆ 今の天化にこれぐらいストレートな感情表現ができていればっっ!! (笑) 「将来の夢は蝉玉をお嫁さんにする〜☆」うおおおおっかわええーーーっ!!!(興奮) 今の天祥くんを彷彿させますわっ。でも天化のほうがおませ? (笑) 小さな二人のピュアなラブ(きゃっ)具合がなんともいえずいいかんじ〜っ(#^_^#) ってその桃は間接キスよ間接キス!!(でもやっぱりピュア〜☆)
ところで年齢制限にひっかかりそうな続きって?(期待の眼差し)
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