プチシリーズ・主君様日記(・o・)ノ
第3回は清正さん。
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葉月某日。
先日、甘い仕上げにやり直しを指示していた建築材料が、ようやく仕上がってきた。
予想以上の仕上がりに、やはり妥協しては、良いものなど作れないのだと実感する。
よし、これなら複雑なカラクリ仕掛けに耐えうるぞと、設計図を書く手も弾む。
今書いている設計図は、この屋敷に設置する、防犯用の新たなカラクリ仕掛けのものだ。
この屋敷もあちこち手を入れすぎて、屋敷の者が一緒でないと少々危険になってきている。屋敷に仕える者たちからも、そろそろかわしきれないと苦情が出始めているから、屋敷中のカラクリの見直しも含めて設計している。
大変だが実に楽しい作業だ。
作業の最中、俺を呼ぶ政宗様の声が聞こえた。障子が開くと、政宗がボロボロな姿で皿を抱えて入ってきた。
「てめぇ…カラクリがまた増えてるじゃねぇか…料理が台無しになるところだぜ…」
差し入れを持ってきて、罠にかかってしまったらしい。すまない。
受け取った皿を見ると、なんと料理は乱れなく綺麗に盛り付けられたままだ。
自身はボロボロになっても、料理は死守したらしい。見事な料理人魂だ。俺も大工として、こんな心意気で建築にあたりたいものだ。
しかし、料理が死守できたということは、まだまだ俺のカラクリに改良の余地があるということか?
…もう一度、設計図を見直してみよう。
加藤清正 記
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そしてできたのが、入って出てきたものはいない恐怖の館…ということになりませんように。
ていうか、二人の本職が侍だってことを最近よく忘れています←
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